《いつも葛藤と同居》心によく葛藤が起きる人がいます。このような方は葛藤の対象だった人物がいなくなると、今度は、違う人にたいして葛藤が起きたりしがちです。葛藤が起きるのは、次のような状況で起きることが多いようです。
《環境に慣れたころに起きる》誰でも職場などで、初めのころは、その職場や仕事に懸命になじもうとします。こういう状況では、葛藤はおきません。職場にも仕事にもなれたころ、じわりと葛藤が忍び寄ってきます。葛藤を感じはじめると明けても暮れてもそのことで頭がいっぱいになってしまいます。
《対人的な葛藤》たいていの場合、対人的な葛藤です。問題の人物が去ったとします。ようやく平穏が訪れると思って、ほっとしたのもつかの間、今度はあらたな問題の人物がクローズアップされてきて、葛藤が生じます。
《以前は気にならなかった》あらたな葛藤の対象者は、前からそばにいたのかもしれないのに、以前は気になりませんでした。こうしていつも葛藤を抱え込んで生きていかざるをえなくなります。葛藤は対象が分散せず、その人のことばかりに集中しがちです。ここに精神症状的な特徴があります。
《受け流せない》ひとつの葛藤に気持ちが集中することは、不安も、対人恐怖症も同じです。問題は、一見するとあたかも葛藤の対象となっている人物にあるように感じられます。たしかに、葛藤を感じさせる人は、少々難ありの人だったりします。しかし、他の人は、たいして気にとめずにひょうひょうと受け流していることがあります。
《原因は?》このようにしばしば葛藤を感じる人の原因を探ると、幼いころの家庭生活がクローズアップされてきます。のんびりと楽しめる家庭生活ではなくて、つねに不満や問題を抱えていた家庭生活を送ってきた方が多いようです。
《葛藤する習慣》ご本人にとっては、問題や不満、葛藤がつねに存在するような親の態度だったのでしょう。そうすると葛藤そのものが心に刻(きざ)まれるのです。このように幼少年期に多くは親との関係で、葛藤する習慣を成長してもしぜんに持ち続けることからきています。
《のんびり過ごしたことがない》平安でのんびりとした状況を体験したことがないので、過去の親のもとでの生活のように、葛藤を感じている心の状態をたえず持ち続け、成人してからあまり問題がなくてもあたかも葛藤を引き寄せて感じ続けるような心の状態が定着してしまっているといえるでしょう。