人は、親しい人かいっそのことアカの他人だと会話などについて思い悩む必要がないとされます。大ぜいの知らない人の中にいても気にならないし、そこへ旧知の親しい人を見つけるとうれしいものです。むずかしいのは、ちょっとした知り合いや顔見知り程度の間がら。目でちょっとあいさつしたり、軽い会釈をする程度の関係性、あるいはたんに知っている顔という程度の間がらの場合です。
どこまで踏み込んだ会話をすればよいのか、自分のことをどの程度話してよいのやら、判断しようとすると頭がぐちゃぐちゃになります。これは話し好きなのか、開けっぴろげなのか、内気か人見知りなのかそれぞれが持ち前の性格にしたがってすでにパターンをこしらえていることと思います。知り合いだけど友だちでもない、といった程度の関係にある人が社会生活の中では大ぜいいるのです。
大人の会話というのは、どうでも良いことを話せることといえます。自分の趣味や守備範囲のことにだけ身を乗り出して話すというのではなく、たとえばお天気のように当たりさわりのない話ができるということです。
人は、目下の人にはプライバシーを話さないといわれています。自分のプライバシーをそれほどの仲でもないと思われる人にでもどんどん話してしまう人は意外に好かれるのです。知られてもまずくないプライバシーというのはけっこうありますから。そんなことはないと反論なさる方もいるでしょう。しかしプライバシーをよく開示なさる方がもしも身辺にいたら思い出してみてください。あなたはけっして悪意はお持ちでないと思います。
これがビジネスシーンとなると、圧倒的に顔見知り程度でも名前をおぼえて呼びかけることにつきます。名前をおぼえて話しかけること自体が好意を表しているのです。