帰郷したから、知人におみやげを渡したところ、急いで買ってきたようなものをお返しにいただいたとします。これって不可解な感じがしますね。借りは絶対に作らない主義なのかとかね。しかし、これは人間の心のバランス上ある意味で普遍的なことです。
これを心理学の用語で返報性と言います。受けた好意は、お返ししたい。日本風にいうと義理人情の世界、恩返しの世界です。これは日本人だけでなく、万国共通らしい。好意を受けっぱなしだと居心地が悪いというのは。
しかし、借りがあるといっときも落ち着かない。これでは心が弱すぎる。何かの好意を受けたら、借りのある感覚を粘って持ちこたえて、何かのおりにお返しする。これが大人のバランス感覚です。