《本を読むだけではダメ》相手も自分も尊重しながら自己主張ができるためのアサーション・トレーニングは、身につけることができれば、対人関係ですばらしい力を発揮します。アサーション・トレーニングの本は書店にもあります。しかし、アサーションは本を読むだけで、即実行ということは不可能です。それは、あたかも「金メダルの取り方」という本を読んで、金メダルを取ろうとするのに似ています。なにしろ行動療法ですから。体でおぼえるのが、肝心です。
《集団療法》アサーション・トレーニングを学んだ方は、すぐに実行できているでしょうか?たとえば誰かから露骨なイヤな言い方ではなくて、微妙にヘンな言い回しで言われると、とっさにアサーション的な返しができなくて、妙に心が固まってしまうという人もいます。それがあとから怒りに変わるのです。
《参加しても身につかない人もいる》アサーティブネスというのは、言語表現だけとはかぎりません。むッとしておし黙ったり、女性ならつんつんするだけでも、気を悪くしたことが伝わります。これをノン・バーバル(非言語)表現と言います。身体言語とも言います。怒りを表す習慣のない人は、ノン・バーバル表現もできにくい傾向があります。どうしてもアサーティブができない人に、さらにもう少しハードルの低い方法をお知らせします。
《ふり返る》人から変な言い方をされて、イヤな気分がしたけれど、アサーティブも、ノン・バーバル表現もできなかった人にとって、もう少し実行しやすい方法とは次のようなものです。たとえば変なことを言われた時に、面と向かって無言で首をひねってもよいのです。それもできなければ、別れぎわにふり返って、相手の顔か目をみましょう。「ヘンな異和感があったヨ」というメッセージを発信してることにつながります。相手がたまたま気づけば、よいのですが、気づかなかった場合でもふり返るだけで、こちらの気持ちがいくぶんかおさまります。