《首に社員証のようなものをぶら下げて》はじめは、女性が一人で来ました。船橋の駅前のなんとかという店の者というふれこみでした。首に透明のカバーをかけた社員証のような名刺大のものを下げ、それをかかげました。私は、船橋の駅近くの中古の宝石店ショップで、娘にペンダントを買ったことがあるので、自動的にその店を想像して少し気を許してしまったようです。洗濯をしてから出かけようとしていたやさきのことです。スーパーのワゴンで買ったものでも売れると非常に執拗に言います。私はそれを聞いて欲が出てヘェーっ、それでは探してみると言いました。すると外に出て相棒を呼んだようです。
《ちりちり頭の男もやって来た》やがてちりちり頭の男がやってきました。ほとんどあいさつをしません。鑑定が専門のようです。案の定査定金額はゼロでした。金製品というふれこみの海外みやげも値がつかず、ややショック。それからあとがしつこい。もっとないか、もっとないかとせがみます。それで私はふだん使っている二、三の宝石類を見せました。石には興味がなさそうでした。指輪が、1万5千円と言います。冗談じゃない、その5倍はしたのに、と取り戻しました。
《根負けしそう》女性がなおも、もっとないか、もっとないかと非常にやさしく言います。私は、人に要求されると弱いたちなので、金のこわれたペンダントを思い出しました。しかし、玄関内に知らない人たちを入れたまま、家の中を探しものでかきまわすのがイヤになっていました。それで「もうお返りください。出かけますから」そう言っても動こうとしないので「警察呼びますよ」と言ったら、あたふたと出ていきました。女性は非常にていねいにあいさつをして帰っていきました。なんだか通報を避けたいという思いがこもっているように見えました。やさしい言い方で、繰り返ししつこく言う、こういうのに弱い方はご注意ください。