《心理学ニュース43》で共感性を育てる療育方法についてご報告しました。療育とは、ほんらい脳が発達の途上にある子どもにたいして有効なのですが、大人にたいしても効果がいくぶんか望めるようです。
相談を受けていると、あレレッ、発達障害系かなと思うような事例に出会います。職業能力はきちんとあって働いているのですが、たとえば高齢出産間近の同僚にたいして「わあ~っ、私ぜったいいやッ、45才になって子どもを産むなんて」と叫んで、周囲を青ざめて凍りつかせたりするような方です。そういう方は、ふだんからそうした言動があるので、同僚たちは「またあっ」と言ったり、アハハッと笑って取り合わないで気にしないようにしてその場をとり繕っているようです。そういう方自身はというと、自分の言動が周囲にさざ波を立てていることを知っているのですが「私は悪気はない」「正直なだけ」といいように解釈して反省に結びついていないようです。
そこでおすすめしたのが「自分反省会」(これはテレビで見ました)毎日あるいは、周囲の反応が気になったときに、自分の言動はこれでよかったのだろうかと反省をするのです。相手はどう考えていたのだろうか。自分の言動にたいして相手はこう思ったのかもしれないのかという忖度(そんたく)をする訓練をします。子ども時代ほどの効果はあがらないのですが、ある程度の効果は期待できます。いずれにしろ、自分には、共感性がないとか、他人の気持ちがわかりにくい質(たち)であることを認めることが最初の重要なポイントといえます。