(心理学ニュース39)で、ロールレタリングや相談を受けるがわになって相手の話を聴く傾聴は、かなりの回数を実践することによって共感ニューロンの発達に有効ということを書きました。心理療法には、ほかにも相手の立場を推測して相手になりきって、演じてみる療法があります。
《ゲシュタルト療法》ゲシュタルト療法のエンプティチェア。エンプティチェア、つまり誰かを想定した空の椅子と対話するのですが、自分が空の椅子と話したら、今度は空の椅子のほうに座って相手の立場にたって問答を返してしてみます。
《ロールプレイ》ロールプレイも、ある設定のもとに寸劇のようなものを演じていくのですが、時には自分は息子の立場なのに、母親役をやることになったりします。
《SST》ソーシャル・スキル・トレーニングは、社会的なスキルがいまひとつという方たちのために、実践形式で対話の訓練をしたりします。その活用が広がっていき、問題の対処の仕方をメンバーで考えながらそれぞれの役割りのロールプレイををします。
《アサーショントレーニング》アサーショントレーニングは、ほんらいおだやかに自己主張するためのトレーニングですが、その中でやはりロールプレイをすることがあり、その時に相手の立場にたって考えてみる場合があります。
以上のワークは、ロールレタリングや相談の受け手がわになることに比べると、回数が少ないので、共感ニューロンの伸長に役立つのかどうかさだかではありません。しかし、少なくとも相手の立場に立つことによって、視野が広がるので自分のとらわれに気づくきっかけになります。たとえば全身が被害者意識でいっぱいだったとすると、そのレベルがぐっと下がったことを実感できる場合があります。
ロールプレイは私の体験した実感によると、おおむね80パーセントくらいは、本人になりきった気分でした。