《ミラーニューロンを増やせる心理療法がある》38〈カウンセラー自身へのカウンセリング活動への効能〉で、カウンセリング活動によって、脳内にミラーニューロンが発達していくらしいという説と私自身の実感を書きました。考えてみると、相手の立場にたって洞察することによって、結果としてそれまで被害者意識でいっぱいだったのが、視野が広くなる、心が強くなるなどの効果の期待できる心理療法があるのです。
《ロールレタリング》それは、ロールレタリングという療法です。つまり役割手紙で、少年院などで行なわれていることが知られています。最初は、だれか、たとえばお母さんなどに自分から手紙を書きます。次からがこの療法のミソで、今度は母親の立場になって、お母さんから自分に向けて手紙を出すのです。それからもしも、両親が幼いころに離婚していたとしたら、父親との別れがあったころの幼い自分への手紙と、幼い自分から現在の自分への手紙等々、シチュエーションは無限にあります。奇抜な例では、自分がげんこつで穴を開けた壁への手紙と壁からの自分への手紙でもよいのです。対象の何かになりきりながら思案をめぐらせるうちに、視野が広がり心が落ち着いていくという療法です。視野が広がったということは、すなわち脳内の生理的な変化が連動しているという驚くべき説を心理学ニュース38でご紹介しました。