カウンセリングをしていると、時々性的な逸脱傾向のある方の相談を受けることがあります。私は、セックスカウンセラーではありませんから、そういう場合はただ傾聴するのみ。「やばいなー」といった印象を受ける法律違反すれすれの話題もクライアントさんの側にたって、自分の身を守るために、やめたほうがいいというアドバイスをする程度です。
当サイトのカウンセラーの基本方針は、カウンセリングの初期の傾聴が一段落したところで、生育時の傷に関連した症状だなと思ったら、親子関係をたずねていくようにしています。性的な逸脱傾向のある方が生育時の傷のある場合はたしかに多いのですが、性的逸脱はわりあいに多種多様で、傷との関連性をいちがいに断定できないことが多いようです。
そんな中で、はっきりとした傾向がみられるのが、性的サディズムです。相談は、多くの場合女性からよせられます。男性のパートナーの性的サディズムに関連してということです。男性ホルモンであるテストテロンとの関連性があるのかもしれません。
性的サディズムの男性の特徴的なタイプはというと、例外なく有能で相応の社会的な地位をきずいており、人の気持ちを瞬間的に察知する能力にたけているということです。あらかじめ察知した他人の心の動きにうまく対応して人の心をとらえてしまう抜群のセンスの持ち主といえます。
ところが夜になると豹変するのだそうです。このことについてサディズムに関係のない複数のクライアントさんに聞いてみたところ、「その気持ちわかる、わかる」という答えがかえってきました。クライアントさんたちによれば、その心ははたして自分を受け入れているのだろうかという、テストなんだそうです。ためし行動などと呼ばれる、一見すると自分が好きな人に親愛の情と正反対の行動をして、それでもなお自分を受け入れるのだろうかためしてみるという、過去の心の傷に関連した特異な行動パターンです。
また性的サディズムの方の性格上の特徴として人の気持ちを瞬間的に察知する能力にたけ、あらかじめ察知した他人の心の動きにうまく対応して人の心をとらえてしまう抜群のセンスの持ち主と書きましたが、じつを言うと、これも不如意な生育環境のなかでつちかわれた可能性が高いのです。つまりただぼんやりとしていては、必要な愛がしぜんに注がれることのなかった環境だったため、(交流分析でいうところの)プラスのストロークを積極的に求める心が幼いときから作られていたのです。それがあたかも固有の性格のように、社会生活上はむしろ有利な特性として作用しているようです。サディズムの起点は、快楽というよりも不足感の埋め合わせという切実な欲求があってこその行為のようです。これがじつは、たんなる快楽を求めるよりも強い欲求なのかもしれません。
彼らは機能不全家庭で育ったわけですが、強い活発な性質は対人関係では、有利な性格特性を持つ人として育ったようです。もともと強く活発な人柄ということもあって、ほぼ生活全般にわたって破綻なく過ごしている方が多いようです。ただし夜をのぞいては……
そういえば、セックス依存症の男性も、本音を言うと快楽追求型ではなく、会ったその日に異性を必死に説得して、OKとなると「自分が受け入れられたようでうれしい」そうです。やはり過去に受容されなかった体験の代償を求めているようです。
申し上げておきたいのは、活発で有能で魅力的な男性がかならず性的なサディストというわけではありません。そのような基本的な気質を持った方が生育時の傷を負った場合に発症しやすい傾向だということです。
サディストについての原因が例示されたいました。
ある程度、原因がわかっていたなら、治療は可能なものでしょうか。