《中心的な思考は自責感》うつの中心的な思考は、自責感です。「あの人はこういうふうにイヤッ」など他責の感情が出る方は、うつ病になりにくいですね。この正体不明の自責感の起源をさぐってみましょう。さて、うつは抑圧された怒りとも言われています。
《ほ乳類の宿命》ほ乳類の子どもは、赤ん坊時代は無力で、すべて両親、とくに母親に世話をされて、育ちます。人間の子は、他のほ乳類に比べても、赤ん坊時代がとても長く、懇切な世話を必要としています。
《肯定的な受容》ところがこのようにお話にならないくらい未熟であっても、子どもは、尊重されて育つ必要があるのです。立っただけでほめられて、食べてもほめられる。子どもは、存在自体が親に肯定的に受容されることが望ましい。これが根源的な自尊心、あるいは自己評価のもとになります。
《拒絶的な親》ところが、母親が拒絶的だったり、非受容的な場合、子どもに怒りなどのマイナスの感情が芽生えるのですが、怒りのもっていき場がありません。思春期以降ならば、家を出るという選択もあるでしょうが、幼いころは、親を批判しては生きられない境遇にあります。
《自分攻撃に》そこでその状況を受け入れざるを得ない。本当は怒りたいけれど、怒ると生きていけない。行きどころのない怒りは自分に向けられます。怒りが抑圧されると自分攻撃に向かいます。状況を受け入れて、生き続けるために、相手が悪いのではなく自分が悪いという自責感がほぼ自動的に生まれるのです。こういうタイプがうつになりやすいと思われます。