《初期の効果》カウンセリングによる回復にはいろいろな段階があります。最初の回復は、まず、話すことによってスッキリすること。いわゆる傾聴の効果です。カウンセラーは、傾聴のトレーニングを受けているので、一般の方に時としていらっしゃるように「ああ、またその話し?いいかげんにその話をするのはやめたほうがいいよ」などというアドバイスをすることはけっしてありません。クライアントさんが、何度も何度も同じ話をするとしたら、それなりに理由(わけ)があるのです。
《来談者中心療法》一般的に広く行なわれているカウンセリングは、ロジャーズの来談者中心療法で、おおむね以上の傾聴を主とするものです。ロジャーズによれば、クライアントさんは、話すことによって自然によい方向へ向かうという見立てによっています。
《生育歴》しかし、はたしてそれだけで回復するのでしょうか?私たちの行なっているカウンセリングは、ごく大まかに言うと、人間関係でつまずきがちな心は、過去の生育時の親子関係の心の傷からくると見立てています。
《暴露療法》大震災などによるPTSDの場合は、暴露療法といって心の傷を受けたつらいできごとについて話すと回復していきます。それと同じ治療法がアダルトチルドレンの心の傷においても有効なのです。アダルトチルドレンの心の傷を複雑性PTSDというくらいですから。
《トラウマ・ワーク》一種のトラウマ・ワークになります。クライアントさんの現在の状態と、過去のつらいできごととの関係性についてお話しをすると、ピンとくる方もいれば、体感的にはっきりわからないという方もいます。
《ある程度の時間がかかる》いずれにしろ、こうした傷のある方の回復には、ある程度時間がかかり、カウンセリングの期間は、傷を受けた期間だけかかるという説すらあります。つまり、20年間親元で苦しんだら、カウンセリングの期間が20年かかるという説です。
《理想はじっくり》しかし、じっくりとカウンセリングにかかることはあくまでも、理想であって、いくらなんでも20年もカウンセリングにかかる方は、私のクライアントさんの中にはいらっしゃいません。よその機関でそのくらいの期間カウンセリングにかかっているという方は、知っていますけど…。
《普通の記憶に》はじめて過去の心の傷について語るとき、いや~な感じがします。何度も話すとイヤな感じがなくなってきます。こうして、親にまつわる記憶が他の普通の記憶と同じ程度に心が乱れなくなると回復していきます。