《クライアントさんは敏感》クライアントさんは、がいして敏感な方が多いようです。お話しをうかがっていると「ちょっとお~っ、考え過ぎでは?」と思うこともしばしば。しかし、さらにじっくりとお話しを聞いていると、たしかにそういうことって人間にはあるよねえ~、と思うような場合もあります。
《基礎心理学の中でもその傾向性は指摘》たとえば、知らない人の前だと平気で話せるのに、ゆるい関係性がある相手だと一言も話せない方がいます。「気にしないであいさつでもすればいいじゃない」とみなさん思うことでしょう。ところが病理を扱わない人間一般の心理をあつかう基礎心理学でも、人間の持つこうした傾向性は指摘されています。
《対人恐怖症》ヒトは、まったく知らない相手の中にいるか、親しい関係性の人だとリラックスしていられるけれど、顔見知り程度の間柄だとあいさつするのも苦手ということがあります。対人恐怖の方だとこういう傾向が先鋭化していることがあります。「あっ知っている人だ。あいさつしようかどうしようか、でも向こうはボクのことを知っているのか知らん」という程度の関係性であれば、対応法はひとつ。あいさつをしてしまうことです。
《向こうも同じ程度に見知っているはず》たぶん向こうも同じ程度に見知っているはずです。「知らない人なのにあいさつしてきた。おかしなヤツ。」とはぜったいに思いません。高齢者の中には、もの覚えが悪くなっている方がいて、あいさつのお返しがではなくなっている方がいますが、それなりに応対がていねいなので、こちらも気にならないことでしょう。
《診察時間が人により異なること》精神科クリニックなどでは、待合室の患者さんの中には、他の人の診察時間を計っている方がいます。待合室で知り合いになると、診察時間が長めになりがちな人に対して、先生のお気に入りみたいなコメントをもらす患者さんもいます。
《あの患者さんは上客?》そういう話を聞いていて、そういえば内科などで、待合室が混んでいる時などは、診察時間が長い患者さんになんとなく目が行って「あの人上客なのかしら」と感じてしまうことがあることを思い出しました。ほんとうは、症状が重たいだけなのかもしれないのにです。たいていは、そう感じたとしても、クリニックを出たとたんに忘れることでしょう。
《クライアントさんの傾向性はだれでも持っている》このようにクライアントさんたちの話しに耳を傾けていると、クライアントさんたちの困難は、一般的な誰しもが抱えている傾向性が煮つまったものという気がします。