亜澄さんという妹を兄の武藤勇貴被告が家庭内で殺害して、バラバラにした事件。亜澄さんは、家庭の中でどうやら問題児扱いされていたらしく、兄が亜澄さんの口撃にたまりかねて手をかけてしまったという構図の事件。
地裁レベルでは、亜澄さんを反抗性挑戦障害とする説も出て、亜澄さんの言ったことが反抗の引きがねになったとしています。亜澄さんが中学生になったころから、些細なことで両親に対して反抗的になり、リストカットなどもしていたようです。
武藤被告から見ても亜澄さんは「家族から理解されず苦しんでいる」と思われていたとのこと。亜澄さんは、自身のブログの中で兄妹が差別的に扱われたという不満をもらしていたそうです。しかし両親は「兄妹は平等に扱っていた」と認識していたとのこと。
亜澄さんは、いつ死んでもかまわないと感じており、家族との不仲を苦にしている様子だったといいます。劇団に入ったころは、無気力で暗かったけれど、劇団に入ってからは明るくなったといいます。
交際中の男性の言葉として、「嫌いなんだから(家族のことなんて)どうでもいいだろう」と話すと、泣きながら「大好きだからつらいんじゃない」と言ったそうです。嫌いというのは、好きだということなんですよね。
父親にDV疑惑があったが、それに応えて父親は「教育の一環としてたたいたことはあるが、大けがをするような暴力をふるったことはない。それも中一の時が最後だった」と話したそうです。
つまり大けがをするような暴力でなければよい、また小さいころの昔の暴力であれば現在の心のあり方に影響がないという認識をお持ちだったのでしょうか。
一般的に言って厳しすぎる教育というのは、心に傷が残ることがあります。また亜澄さんの全体的な傾向としては、もともと強い性格であったのと、怒りを内部にかかえていたのではないのかということです。反抗という形で怒りを出していたようです。親しい男性につらさを出すことはできたのですが、家庭内では、ついに理解されませんでした。
問題児が家庭に出現した時に、その子の資質の問題ととらえられがちですが、家族のあり方に対する反応と考えていただくほうが、多くの場合回復への早道と思います。(そうでないこともあります)
不適切な養育という評価は、一般的には過保護や甘やかしが原因とするという意見が目につきます。その論旨からもっと厳しくすべきだったとする理解が多いようです。細かい反論は省きますが、愛情のある肯定的な育児が原則といえます。