子育て理論も、子育て書も以前とはだいぶ違うようです。発達という人間の心の育ち方の研究が進んで、いろいろなことがわかってきたようです。
○断乳から、卒乳へ⇒昔は、一才くらいになると、おっぱいを止めさせる時期だといって、お母さんの乳首にとうがらしをぬったりしてむりやり断乳をした時代もありました。これは、どう考えても大人がわのつごうでした。現在は、むりに断乳するのではなく、本人が興味がなくなったら自然に卒業するという見方に変わっています。つまり自然卒乳という考え方です。そのほうが、赤ちゃんの心が安定するからです。赤ちゃん時代の心の安定は、生涯の心の安定ともかかわっているのです。筆者も、母乳を飲んだことがないと、中年男性から相談を受けることがあります。このように不足感から執着心は生まれやすいものです。
○6~7ヶ月になると、母乳は栄養不足になるので、ミルクに切りかえる⇒今は、無理にミルクに切り替えなくてもOK。授乳するとお母さんの脳内に愛情ホルモンのようなものが出てくることもわかってきました。また、離乳食開始の時期もごくゆっくりです。あまり小さいころから、さまざまなものを食べさせると、場合によってはアレルギーになると言われています。
○抱きぐせがつくといけない⇒抱きぐせはOK。スキンシップによって、ヒトは限りない心の栄養をもらっていることがわかりました。
○親の背中のを見て子は育つ。あるいは、母親が外で生き生きと働いているのを子どもにみせることが重要。⇒たしかにモデル像は必要でしょう。しかし、とくに年少の子にとっては、親が外で生き生きと働いているよりも、家にいるほうがうれしいかもしれません。幼い時代はある程度の時間をさいて、お子さんにかかわることが重要です。外では、立派、家の中では、拒絶的な親という例がたくさんあります。
○『魂の旅』という本に良い言葉がありました。「子ども時代に愛を受けることによって、人は愛することを学ぶものです」ごくまれに愛をもらわないで育っても、子どもを愛せる強い資質の人もいます。いずれにしろ、ごく幼い時代には、自分が拒絶されているなと体感的に感じるようなメッセージは、あまりよくないといえます。