心理学ニュース

48、傾聴的なカウンセリングの決定的によいところー麻痺的な傾向からの回復

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感情を吐き出すということに焦点を当てたカウンセリングの決定的な長所があります。お世辞にもよいとはなどいえない養育環境を生きのびてきた方の中には、離人症、乖離、感情麻痺、多重人格障害の症状のある方が時々います。これらの症状は、おおむね同じ症状でたんに濃淡の差があったり、別人格の出現などといったややゆゆしき事態に見えることもあるのですが、ともかく同じ心の仕組みから立ち上がっているといえます。耐えられない苦しみをやり過ごすためのサバイバル戦術として、無意識のうちに意識をとばしながら感覚を鈍くして生き抜いてきたことの証しです。記憶をなくしていたということなどを含め、こうした症状は、意外にもけっこう多いのです。

このような症状は、さまざまなことを吐き出していくカウンセリングによって、しだいに感覚を取りもどしていくことが多いようです。早い方では、数回のセッションで感情の麻痺がとれてくることがあります。また、忘れていた心の傷となっているできごとを思いだすこともあります。カウンセラーと安心できるつながりをもったことによるのかもしれません。

ところがです。思い出したり、感覚が正常に作動するようになるとかえって苦しい思いをする場合があります。これまで感じなかった苦しい、さびしい、などのマイナスの感情につらい思いをされるようです。しかし見方を変えてみると、これは治療の進展を意味しているのです。感覚がないのよりもよりよほどよいことといえます。心理療法の創始者と言われるフロイトも同じことを言っているそうです。また自分に感情の麻痺があることをそれまで知らなくて、そうした人が、寂しいという感情をはじめて体験して自分が抱えていた感情麻痺を知ったという場合もあります。

こうした結果をしばしば伴うといっても、ふつうは軽いものであれば感覚麻痺そのものをターゲットにしてカウンセリングを行ないません。意図しなくとも、カウンセラーとの安心できるつながりがよい作用をもたらしているのでしょう。

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