《境界線の侵入》養育的でない親が営む家庭では、しばしば境界線の侵入があります。親子間では、本来多くの場面できちんと境界線が引けている必要があります。たとえば親子間では、性的な境界線が必要です。
《親子は性の対象外》これは、どういうことかというと、親子でおたがいを性の対象としないことなどです。これは、健康な家庭ではしぜんに親子でおたがいにそうした興味の対象からはずしていることでしょう。子どもの性的な成熟は、親にとってある種の脅威ですから、内心では多少うろたえつつ必要な知識を伝える以外は、暖かく見守るのが一般的なのかと思います。
《娘の成熟に過敏な反応》父親が娘の性的な成熟にびっくりして、よけいなことを言ってしまい、娘がずうっと怒っている、まあ、これは多少想像できなくもないですね。よくあることです。ところが娘の性的な成熟に過敏に反応してしてまう母親もいるのです。
《母親が娘の風呂をのぞく》その例として、たとえば母親がお風呂をのぞきにくる、胸が大きくなったことを人前でからかったりするなど、ええっ、と言いたくなるようなさまざまな言動をする母親がけっこういます。
《自分に自信がない母》こうした母親の心のしくみを考えてみると、こうした母親は、まず、自己評価が低くて自分に自信がないといえます。娘の女としての成長を受け入れられず、むしろ脅威に感じられます。心に余裕のない人なのです。子どもから女性へと成長していくときに、少女は、しぜんに輝くように美しくなります。
《女らしくさせない》それが自己評価の低い母親の心をゆさぶります。娘の性的な成熟を心で受け入れられなくて、頭を極端なショートカットにさせたり、黒ずくめに近いかっこうをさせたりすることがあります。娘が女性になることにたいして生理的に反発するのですね。
《夫をテスト》あげくに、体の性的な成長をからかったりします。からかいは攻撃の一種なのです…。夫の眼が娘へといくことを恐れ、夫をテストしている様子さえあったりします。このように母親にとって娘は、もっとも身近な競争者であるという不幸な場合があるのです。