《特異な才能》サヴァン症候群の中には、いろいろな分野で特異な才能を持っている人たちが時々いらっしゃいます。何年も先、あるいは過去のカレンダーの曜日と日付けが即座に言える、あるいは、円周率の記憶などきわだった能力を示す症候群のようです。
《カメラのような症状》視覚的なサヴァンとは、過去に見た事物を絵画でカメラで写したかのように細部にいたるまで、そっくり再現できる並みはずれた才能をさすことが多いようです。しかし、サブァンの多くの方たちは、他の能力、たとえば対人コミュニケーション能力などは、あまり発達していないようです。また、発達障害の診断名を持つ方もいます。
《アダルトチャイルド的な環境》私は、サヴァンの方たちを数名知っていますが、いずれもアダルトチャイルド的な環境に育った方たちばかりです。あるいは、親がアダルトチャイルドで、子どもが発達障害とサヴァンの症状を呈している方もいます。
《危険でなくなったら記憶力が平凡なものに》もとサブァンだったある方の話は、暗示的です。その方は、親が危険な家だったので、子ども時代に危険防止のために、記憶しておこうと決意していたそうです。学校の勉強も一番でした。18才になり、親元を離れて安全になったら、すばらしい記憶力がなくなり凡庸(ぼんよう)なものになってしまい、屹立していたものがとれたという報告があります。これは、心理療法をしたら、作家的な才能が減ったという当コラム(114、トラウマ治療によって芸術性が低下?)と酷似していますね。
《芸術性とは関係がない》また視覚的なサブァンを持っているお子さんの親ごさんで、その才能をとても期待してらっしゃる方がいますが、そっくりに写しとるのはカメラにまかせておけばいいのであって、芸術的な価値とはかかわりがありません。