《嫉妬はだれにでもある?》嫉妬は多かれ少なかれだれにでもあるようです。他人をうらやましがる傾向性の中で、嫉妬心の薄いほうとしては、「いいなあ」「うらやましいな」「オレ(私)もがんばろう」などの心境があります。こうした心情は、嫉妬とはいえないのかもしれません。
《美人、金持ち、勉強ができる》それからカウンセリングの現場でよく耳にするのは、他者が秀(ひい)でていることにかんする嫉妬です。美人、勉強ができる、家が金持ち、こういった要素は、ばくぜんとした嫉妬の対象になり、これは、嫉妬されるほうにとってねばつくようなうっとうしい妬視と感じられます。
《同質集団なら》嫉妬にさらされていても、同じように嫉妬されている人がいる場合は、つき合う友人を同じような立場で嫉妬にさらされている人を選ぶとかなり楽になります。このような嫉妬は、男性の集団にはあまりないようです。女性の集団にありがちな現象かと思います。
《実るほど頭を垂れる稲穂かな》また、嫉妬される立場の人で、気のきいた人なら、嫉妬を無視して孤高に生きるよりも、嫉妬してくる人にたいして何かとサービスにつとめたりします。頭(こうべ)を垂(た)れて謙虚にふるまうのです。
《嫉妬はある種の敵意》嫉妬はある種の敵意ですから、敵意を減らす手段はとったほうがよいのです。前出の「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉がありますが、謙虚な人間であることが示されると、いい人ということになり、まあ、許されることもあります。
《嫉妬がおきやすい時》嫉妬はもともとかけ離れた存在にたいしてはおこしません。嫉妬するほうの自覚としては、自分とそんなに変わらないと思っている人が、上司から目をかけられたり、運が上向いて水をあけられたと感じられたときに嫉妬がおこります。
《吉永小百合や上戸彩には嫉妬しない》吉永小百合や上戸彩などの雲の上の存在のようなダントツの美人女優にはだれも嫉妬しません。ダントツの人にだれがいちいち嫉妬して心のエネルギーを使うでしょうか。
《自分と同じくらいと思っている人》ところがそれほど美人ではないと思っている女優が、将来を嘱望(しょくぼう)されているイケメン俳優と結婚したりすると、激しい嫉妬がおきます。それほどではないと思われる女優でもじっさいに見ると、一般人と雲泥の差があるのですけどね。
《目をかけられることについて》あるプロデューサーから聞いたのですが、俳優を抜擢しようとするさい、女性の場合は、仲間から嫉妬されるそうです。しかし、女性にくらべると男性にはそんな現象はおこらないとのこと。さっぱりしているそうです。女性は、古来選ばれることに人生の浮沈がかかっていたからでしょうか。もっとも男性でも激烈な競争のある現場で嫉妬がないと言い切れないでしょう。
《とりわけ嫉妬の強いグループ》いろいろと書いてきましたが、とりわけ嫉妬心が強いグループがあります。それは、親から受容されないで育った人たちです。親から受容されて育たないと嫉妬心が強くなることがあります。彼らは自分だけでなく、他の人がどう受けとめられているのかが気になります。
《自助グループで》私は、虐待されて育った大人たちの自助グループを主催していたことがあります。彼らはたいへんに敏感な人たちで、私が「あの人のことを何回見た。私のことは何回しか見なかった」と観察しているので、おおいに気を使いました。親からあなたはOKだというメッセージを受け取っていると、あまり強烈な嫉妬はおきないようです。
《夫の嫉妬》夫が妻に嫉妬することがあります。異性のことではなく、妻が仕事ができると嫉妬する夫がいるのです。うつの人は、妻が仕事ができることを好まないタイプもいます。またDV男性の中には、四六時中、妻の動向を気にしているタイプがいます。5分おきにメールしてくるなどと聞くと、仕事しているのかなあと疑いがわいてきます。どちらも自分に自信がないので、妻が仕事ができたりすると、おきざりにされた感じがするのでしょうね。反対に仕事ができる夫への、妻からの嫉妬はないようです。
《軽蔑も嫉妬の一種》じつは、軽蔑も嫉妬の一種なんだそうです。いちいち嫉妬していると心が疲れるので、相手の価値を引き下げて、嫉妬しなくてもすむようにしているのです。これが軽蔑です。中には、軽蔑のポーズが身についてしまっている人もいますね。