心理学ニュース

79、グアムの殺傷事件

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《痛ましい事件》グアム島で、結婚式に参加なさっていた祖母とお孫さんともう一人の男性が、チャド・デソト容疑者が起こした事件の犠牲になりました。容疑者は、車で人をはねたうえ、刃物で殺傷しました。結婚式という喜びのさなかでの惨事で、おかけする言葉もありません。犠牲者の方々のご冥福をお祈りいたします。

《秋葉原の無差別殺人事件》この事件を聞いたとき、多くの日本人は、加藤智大によるあの秋葉原無差別殺人を思い出したのではないでしょうか。車で乗りつけて人をはねたうえ、刃物で刺す。まるでなぞったかのような展開でした。たしか2008年の事件でした。あの日、私は、ちょうど斎藤学精神科医の主催するNPO法人で、電話相談を担当していました。

《加藤くんかわいそうの声》忘れもしないのは、「加藤くんかわいそう」というような相談者の声を複数回聞いたことです。もちろんのこと、一番かわいそうなのは、無辜(むこ)の被害者たちです。それでもそのような声があるのは、相談者たちには、容疑者がどれほど過酷な育てられ方をしたのか、すぐに察しがついたからです。

《私と同じ育てられ方》案の定、弟さんの告発で、加藤智大被告が母親による虐待的な育てられ方をしたことがわかりました。床に置いた食事を犬のように食べさせられたというものもありました。「私と同じ」とやはり床に這いつくばってものを食べさせられたというクライアントさんも言いました。もっともその方は女性でやや混み入った結婚をしましたが、その後ふつうに子どもを育てています。

《過去との因果関係》そこの電話相談にアクセスしてくる方は、精神的な症状をかかえている方が多いのですが、おおむね過酷な養育環境と現在の症状との因果関係を認めている方たちです。「加藤くんかわいそう」と言った方は、精神症状と殺人という異なる現象でも根っこは同じと気づいていたのです。悪い養育をされた場合、男性は、テストテロンという男性ホルモンの影響が強く出ていることがあります。

《心が落ち着く》母子関係の結果という因果関係に気づき受け入れると、どういうことが起こるのでしょうか。そこに、ははあんというある種の納得が生じるのです。心が少し静まります。何も気づきのないまま、根っこに怒りをかかえ、他の人では、爆発しない程度のストレスで人を傷つけるという確率がやや減る可能性があります。本当は、カウンセリングやグループミーティングなどで、とことん過去の怒りを吐き出す必要があります。しかし、気づくだけでも大切といえるでしょう。

 

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