事例紹介

12、子どもの自殺未遂

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小学生の女のお子さんが、自殺未遂をしたと言って40才過ぎのお母さんがこられました。聞くと、その子がかわいくてしかたがないのだそうです。最初の結婚で生まれた長男は、婚家さきに置いて逃げてきたそうで、長男のときよりも次の女の子を育てている現在はいろいろと余裕があるのか、とてもうれしそうに語っていました。

おけいこごとは、日替わりでほぼ一週間休む間がなく埋めつくされ、とくに出来のよいらしいダンスについてはうれしそうに語っていました。このようなお母さんはよくいらっしやいます。自分の自己実現の肩代わりをお子さんにゆだねているのですね。言い方を変えると自分自身の満たされていない承認の欲求を分身である子どもに求めているといえます。お子さんが疲れるだろうなと思ったので、「お子さんに依存なさらないようにしてくださいね。」と申し上げたら、気を悪くされたようです。

しばらく見えなかったのですが、次に見えたときに聞いてみたら、やはり御自身の生育上の傷がありました。食べ物がなくて、チューブ入りの練り歯みがきを食べたとか、万引きして飢えをしのいだとか、なにしろ世話を受けないで育っているのです。こういう方によくあるのですが、子どもとのあいだに適切な距離感を保てなくて、子どもに依存してしまうのです。お子さんにしてみたら、子どもとして保護とケアを受けなければならないのに、自分のことをケアしてほしい親がいるということは、重すぎてやっていられないことなのです。

お母さんとのセッションでやったことは、お子さんと相談をしておけいこを半分に減らすこと。それから、親役割りと安心してお子さんが育つための子ども役割りをはっきりさせて、世代間境界を引くこと、それからお母さん自身の生育上の傷を吐き出してもらうことでした。その結果少しずつ、それこそ薄紙をはがすように回復されていきました。

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