事例紹介

11、フラッシュバックは感情の大量放出!?

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ある60代の女性の例です。十数年前に、それまでその方が女神と思い奉っていた母との関係性に疑問を抱き、それから回復の作業にとりかかりました。ひたすらまっしぐらにお金も時間もかけました。

「ノー」も言えるようになったし、「母に愛されなかった私としては」と一番心の痛むことをさらっと軽く会話のついでに添えることができます。また過去へのとらわれがなくなってきて、自分の現在も過去も語ることに興味を失いはじめていたかのようです。話題は趣味の絵画や映画、小説の話に移ってきました。はた目には80パーセントくらい回復しているのかなと感じていました。しかし、本人の自覚としては、60パーセントくらいかなと、そう考えていたやさきのことでした。

彼女の娘さんが仕事のことで沈みこんでいるのを見て、フラッシュバックにおそわれたのです。が~んと、とても強烈なものに見舞われました。なにしろフラッシュバックとは、過去のできごとなのに、現在形でつらく苦しい感情がよみがえってくるものです。これには、彼女の順調に回復してきたという自信が打ちくだかれました。あわわ、という感じで私のところに来たり、高名な依存症が専門の斎藤学医師のところに通ったりしていました。見た目も固まっていて、歩き方さえぎごちないような風でした。

それから2ヶ月ほどもたったころでしょうか。彼女はもう精神科を受診する必要性を感じなくなりました。斎藤医師に訊ねると、もう来なくてもいいというお墨付きをいただいたそうです。それ以来彼女はまたぐっと回復の度が増したようにみえました。以前は、生活をしていても日常生活がどこかでストレスフルなようでしたが、フラッシュバックがあって以来日々のグチのようなことをほとんど口にしなくなりました。

このようにフラッシュバックをきっかけにして回復の度が一段と増すことがあります。フラッシュバックは、つらいトラウマ体験を再体験するのと同じですから、耐えがたいほどなのはよくわかります。右往左往もするでしょう。しかし、かならず大量の感情放出をともなうので、その時は当面つらくても、苦しい記憶を体内に閉じ込めておくとろくなことはありませんから、それよりはずっとよいのです。私は、このような例をいくつか知っています。

カウンセラーに向かって感情を吐き出すのはとてもよいことです。フラッシュバックは、それよりももっと強烈になまの感情放出をともなうので、回復に役立つようです。

トラウマ体験の直後は、フラッシュバックは起きません。ある程度の時間がたつと、それは起きるようです。つまりもうあなたは、それに耐えられるからこそ起きるのであり、回復の過程のひとつのステップと考えてよいのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

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