心理学ニュース

41、岡田嘉子の息子の問題点はアタッチメント不足によるもの

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心理学ニュース37で、戦前に旧ソ連邦に脱出した女優岡田嘉子の周辺の方に聞き書き取材し、聞き書きで言及のあった息子さんのその後についてご報告しました。拙著「岡田嘉子との六0年」の話し手の黒岩健而さんによると、息子さんは、母に似ない不肖の息子だったと申せましょう。黒岩さんもだいぶ迷惑をかけられたとのことでした。

母の名前を語ってはお金を集めるとか、それほどの悪ではないけれど、身近にそういう人がいたら嘆き節のひとつ、ふたつも出ようというものばかりです。私も当時は、カウンセラー志願ではなかったので、「まあ、ずいぶんひどいですね」と心から思っていました。

ところがです。カウンセリングの勉強を始めてみて、アダルトチャイルドという重要な鍵概念を知ると、彼がまさに母親から拒絶されて育ち、母からの受容、ひいてはつまり自己受容のできていない弱い心の持ち主であったことがわかりました。

ごく若いころ、事件性を感じさせるほどの強引な関係で身ごもった秘密の子は、祖母に育てられました。やがて祖母が亡くなると、養育に適さない祖父が育てました。母の嘉子は、子供時代からずうっとわが子ではない、と否認のしっぱなし。息子さんの心の基礎構造の弱さは、彼自身のパーソナリティの問題ではなく、アタッチメント不足のせいだったのです。

アタッチメントとは、愛着関係と訳され乳幼児期の母と子の情緒的な絆をさします。アタッチメントによって、人はふつうに穏やかで強い心になれるのです。最近の育児書には、このアタッチメントの形成をうながすようなアドバイスがもりだくさんです。たとえば、断乳は必要がない、抱きぐせはついてもよい、などです。もちろんのこと直接の養育者がお父さんでも祖母でも、施設の職員でもアタッチメントは作られるのです。

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