心理学ニュース

35、「不条理」の源流のひとつが統合失調の症状?

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心理学ニュース34で、カフカの精神症状は統合失調症なのではと書きました。カフカの作品における「不可解な事象がわけがわからないまま我が身に起こる」というインパクトに富んだ設定はいかにも統合失調症らしいといえるのですが、それはアルベール・カミュの「きょう、ママンが死んだ」という印象的なフレーズで始まる小説「異邦人」にも影響を与えていると思います。「異邦人」は、デモーニッシュで非合理的な衝動が自身の内部でも起きて、どういうわけかピストルで人を殺してしまい処刑されることになるというストーリーです。安部公房の「砂の女」も不条理がテーマです。砂嵐が舞う奇怪な窪地に住む人々にとらわれた「砂の女」の主人公は、いく度か逃走を試みますが、すべてが徒労に終わり、奇妙なことに主人公もやがてそこに安住の安らぎをおぼえるといったようなストーリーです。このように不条理というのは、長いこと文学のかっこうのテーマであり続けました。とくにヨーロッパでは、不条理の伝統は根強く、比較的近年でも不条理の設定のフランス映画を2本見ました。カフカの作品における統合失調症的な症状は、深く広く文学や演劇に影響したと思います。

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