事例紹介

2、DVで家を出た妻は子どもとどのようにつきあったらよいのか―女性・40代

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数年前に夫の家庭内暴力で家を出た妻。息子が三人。二十代半ばごろの長男を頭とする男の子たちで、子どもたちの意志で家にとどまりました。父親は、食事の支度等をけんめいにこなしている様子。

家を出てから数年がたち、暴力をふるわれたころの恐怖が薄らいできたせいか、このごろは寂しくてたまらないとのこと。寂しさが体を切り刻むように感じられると言っておられました。「家を出ないほうがよかったのでしょうか?」「近づくと、またくり返しになる可能性が高いのではないですか。当時の状況で恐怖に耐えられたと思いますか?」「それは、もうあのころはとても怖かったです」「それでは、当時のあなた自身の選択は正しかったと、確信を持ったほうが良いのではないでしょうか」

一般的に言ってDVが原因で家を出た女性の場合、寂しいのでまた夫に近づくこともあります。するとふたたび暴力に会うという結果が待っています。「こわい、寂しい、こわい、寂しい」のくり返しといってもよいほどです。

「やはり近づかないのが一番ですよ」これは、ご自身の加害性を自覚したある男性の言葉。夫婦という特別な親密関係では、過去の怒りが噴出しやすいといえます。これはがんらい妻にはなんの罪もないのですが。

クライアントさんのもうひとつの悩みは、17、8才になる末の息子さんが、母である彼女に会いたがらないこと。「なにか思い当たることはありますか?」「ついあやまりっぱなしになってしまうからでしょうか」そう、このようなことは、よくある話です。家を出た母が、子供にごめんネ、ごめんネと謝るのは。お子さんにしたら、そんなに自覚していなかったのに、自分はそれほど謝られるほどかわいそうな身の上なのかと、何かヘンな気がしてしまうのでしょう。

アドバイスは、子どもと面会したらその時を思いきり楽しく過ごすということ。暗い顔をしていたり、謝ってばかりいたり、父親の悪口はあまり言わないようにする。どれほどひどい夫だったか、子どもに同じ思いを共有してもらおうと思い、たとえ事実であっても悪口ばかり言っていては、お子さんはお母さんと会うのが憂うつになるだけです。

お母さんがお子さんにも同じ気持ちになってほしいという気持ちはわからなくはないのですが、DV夫にもいろいろあります。子供を暴力に巻き込んでしまう場合もあれば、子供に対してはすばらしい父親という例があります。DVの男性の特徴として二面性ということがあります。裏の顔を持っているというのが信じられないくらい、世間的にも心から愛想の良い人という印象の方のほうが多いかもしれません。

子どもが父親に好印象を抱くのは、それは彼らの権利です。それから無意識であっても、母親が夫のグチを子供に垂れ流しっぱなしで育てるのは、悪い影響を与えるものです。

 

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