心理学ニュース

127、芸術活動は、自己治療になる、それともならない?

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《自己治療的側面》当サイトのコラム114《トラウマ治療によって芸術性が低下?》に書いたように、芸術家がトラウマ治療を受けると独特の芸術性が低下する可能性について書きました。しかし、芸術家の創作活動について自己治療的側面があることについては、昔から言われていました。

《精神症状からの治癒はある?ない?》創作活動によって、精神症状からの治癒はあるのでしょうか?それともないのでしょうか?作家のカフカの小説は、明らかに統合失調的な世界観と症状が認められます。また、若き日の漱石の行状も、狂気の世界にさ迷い込んでいるようなところがありました。

《創作活動をしても作品の魅力は色あせない》しかし、彼らは書いても書いても病状の治癒には役立っていないかのように、作品の魅力は色あせることがありませんでした。漱石にいたってはDV夫的な心情は、衰えることがありませんでした。

《治療によって魅力があせた例》トラウマを持っていた作家スティーブン・キングは、トラウマ治療を受けると、作家としての個性が失われることを理由に、心理療法を拒否さえしたのです。また私の友人は、心理療法を受けたことによって、それまで輝くような魅力のあった手紙の文体が、いとも平凡なものへと変化しました。

《どうにかこうにか生きる》以上のことから考えると、芸術家が創作活動をしても、根本治癒にはあまり役立っていないといえるようです。それでも、次のように言えるのではないでしょうか。芸術家は、その芸術活動によりなんらかの恩恵を自分の心に受けている。つまり漱石は、若き日のようにふたたび狂気の世界に踏み迷うことがなかった。あるいは、カフカは、本格的な統合失調症の世界の住人になることはなかった、と。

《アウトプットの原理》つまり、創作活動は、完全な回復にはほど遠いけれど、それによってどうにかこうにか正気を保って生き延びることができ、あちら側の世界の住人にならずにすんだ、ということが言えるのではないでしょうか。見方を変えるなら、これは、一般的なアウトプットの効果とも考えられます。

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