事例紹介

31、エリクソンのライフサイクル理論における乳児期の意味

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エリクソンは、人生を八つの段階に分けてライフサイクル理論を展開しました。この理論で有名なのは、青年期において達成しなければならないタスク(課題)として、アイデンティティという言葉を世に広めたことです。アイデンティティとは、自分とは何者かという問いを自らに発し、そこから自己規定していってどのように生きていくのか、自己を確立していくことです。青年期のアイデンティティについては、寿命が飛躍的に伸びた現代では、青年期のもっと後方にまで決定する時期をずらす考え方が出てきました。

アイデンティティは、エリクソンにとっても特別な意味がありました。エリクソン自身が父を知らない子だったり、アメリカ移住によって祖国が変わったので、彼自身アイデンティティについておおいに悩む必然性がありました。

エリクソンは、百年以上前に生まれていながら、ライフサイクルの八つの発達段階は、現在もおおむね正しいとされています。この理論で驚くのは、基本的信頼を獲得するのが、乳児期であるということです。基本的信頼とは、自分が生を受けたこの世界にたいして、自分は快く受け入れられているという感覚を抱くことです。赤ちゃんとして親から受ける世話を通じて、世界は自分に対して好意的であり、自分は愛に値する人間であると刻印されます。

基本的信頼の獲得に失敗すると、基本的不信に陥ります。自分への不信であり、世界への不信が基本的な人間観として定着してしまいます。しかも愛着理論によれば、一才の時に査定された愛着のパターンは、二十年後もほぼ同じという追跡調査があります。

時々、出所不明の不安感につきまとわれている方がいます。記憶のある時代になってからの親の態度から類推して、過去のあり様を納得される方と、不信の源(みなもと)について体感的によくわからないという方の両方がいます。

あまりに長時間赤ちゃんを泣かせっぱなしにするのも、もちろんよくないけれど、オムツやミルクの世話だけでなく、「かわいいね、愛してるよ~」というメッセージを伝えるのも、親が送ってあげられる人生初発のメッセージなのではないかと思います。赤ん坊はちゃんとわかるのです。

 

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