事例紹介

26、老年期のキレやすさは、精神的予備力の低下から?

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《母子が何人か乗ってきた》電車で座っていると、複数の母親とそれぞれの複数の子どもたちが、ガヤガヤと声をたてながら乗り込んできました。子どもたちは、小学校低学年から、中学年くらいまででしょうか。正直に言うと、筆者は、『あっ、イヤだな」と思いました。子どもが乗ってくると、私はまず席をゆずらなければという義務感が湧きあがります。しかし、私の旅路は長いのです。幼児とか子どもを抱っこしているお母さんならば、躊躇なくゆずるのですが、今日は小学校中、低学年の子よりも私のほうが、くたびれていると判断しました。それで、座っていることにしました。

《お隣りのおじいさんが、キレた》そうしたら、私の隣に座っているおじいさんがとつぜん切れたのです。都会の常として、私は誰が隣に座っているのか、考えたこともありませんでした。おじいさんは、母親に向かって「あんた、この席をゆずってほしいんだろう、それならばそう言いなさい。私は席をゆずるから」とややけたたましく、ネジこんだのです。お母さんは、「はアッ?」という表情で怒りました。あたりまえです。電車の中で少々騒がしい一団だったというだけですから。二人は怒りの応酬を始めました。私は、互いの顔を交互に眺めていました。おじいさんが、私の同意を求めるかのように私を見ました。たぶんおじいさんは、私と同じように、席をゆずらなければならないという強迫観念にとらわれて、ストレスを感じてキレたのではないのかと思います。

《丁寧にあやまられた》私は、自分で何を言ったのかおぼえていないのですが、おじいさんの肩を持たなかったことは確かです。やがておじいさんは静まりました。私は、ガミガミ怒ったわけでも、女性としては比較的大きな体で威嚇したわけでもありません。ただカウンセラーとして、言いづらいことを穏やかに伝えるのは、慣れているのかなと、この項目を書きながらあらためて思いました。そのうち親子連れたちは電車を降りていきました。おじいさんの降車駅に着いたようです。おじいさんは、立ち上がると帽子をとって深々と頭を下げてあいさつをしていかれました。私もあわてて丁寧におじぎを返しました。

《体力面では予備力の低下》人間、年を重ねるとこらえ症がなくなります。ヒトは年輪とともに性格が練れていくのかというと、そうでもない方もいます。そういえば、高齢者のご近所殺人事件なども時折り見聞きします。体力の面では、体力の最大出力と日常生活で使用する体力の差を予備力と言うのですが、そういう余力もあまりなくなっていきます。

《おバアさんはキレない?》こうした体力面での衰えは、精神面でのもろさと関連しているのでしょうね。ストレスがかかったグレイな状態を世間体や対人関係を考えてじわっと耐える力がなくなっていくようです。高齢者のこうした状態を性格の先鋭化と表現することもあります。性格の鋭さをもやっとくるんで、世間体をとりつくろう、こういうことができにくくなっているのかもしれません。高齢期がうつになりやすい時期であることともそれと関連があるのでしょう。それにしても、おバアさんがキレやすくなったとは、あまり聞きませんね。

 

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